誰もが銀河からこぼれてる

光っても、光らなくても、そこにある

23.12.11 なんでもないですよ

 最近、仕事で重い荷物を持っている。依頼のあった品物を詰め、梱包し、送り状を印刷して貼り、夕方の集荷へ間に合うように守衛室へ持って行く。重い品物が詰まった箱や袋を台車に乗せてがらがらと運ぶのだ。ヘルニア持ちの腰に気を遣いながら。

 今日もまた荷物を守衛室へ持っていった。守衛さんはいつも、別棟から来たわたしに気づくと、本棟のドアを開けて待っていてくれる。ありがとうございまーすと言いながら守衛室に入り、荷物を下ろそうとすると「いいですよ、やりますので」と荷物を下ろしてくれた。「いつも重いのにすみません」とお礼を言うと、守衛さんは「なんでもないですよ」と言った。なぜだかわからないけど、その言葉を聞いて、わたしは泣きそうになってしまった。泣きそうどころか、別棟まで台車を押しながら泣いた。

 何気ない言葉に泣いてしまうことはたびたびあって、そのたびにちょっとだけ「まだだいじょうぶ」って思う。先月の終わりごろからメンタルがめちゃくちゃになってしまい、それでもどうにか日常生活を送ろうとするなかで、守衛さんの「なんでもないですよ」は本来の文脈を超えて聞こえたような気がした。守衛さんは明らかに目の前の送り状を貼られた荷物に対して言っているのに、今のわたしのメンタルをめちゃくちゃにした荷物のような事柄たちに対して言ったんじゃないか。一瞬そう思ってしまった。

 わたしの手を離れて守衛さんに預けた荷物は、集荷に来た運送会社さんの手で全国へ運ばれる。わたしはわたしの中にある荷物のような事柄を、ちゃんと引き受けて歩かないといけない。今はまだなんでもないですよとは言えないけど、ちょっとずつだいじょうぶになっていくはずだ。