誰もが銀河からこぼれてる

光っても、光らなくても、そこにある

24.3.29 なんで傘持って寝てるんだろう

 昨日つれあいの誕生日だからとモクモク*1に行って食べすぎた。夜中に胃もたれで起きた。眠り薬を飲んで寝ているのに夜中1時間ほど眠れなかった。胃もたれ睡眠薬に勝つらしい。

 別のショールを編もうと思って去年買ったユザワヤのワンダーコットンでこけし先生のbeginning shawl*2を編み始める。他のショールを編むはずだった気がするけどまあいいか。初ショール、楽しみだなー。

 ショッピングモールのベンチで寄り添って爆睡しているカップルを見て、「なんで傘持って寝てるんだろう」と思ったところで気がついた。会社に傘を忘れてきた。

 開幕戦の日なのに歯医者がある…と思いながら歯医者に行ったら被せもののサイズが合わなくて来週また来ることになった。今の心もとない歯であと1週間も過ごすのか!

 開幕戦、言いたいことはいろいろあるけど、ひとまず疲れただろうからゆっくりお風呂に入って寝てほしい。

 

*1:元気になる農場レストランモクモク。ビュッフェスタイルで野菜中心のおかずをしっかり食べられるのでお気に入り

*2:https://youtu.be/xhDCzYDIxOU?si=0IlKFEsjLVWmw4aL

24.03.27 マジで?これおま…

 晴れた!朝から気持ちよく晴れた!ありがとう!サングラスとマスクをして太陽に感謝することにする。ここ数年太陽が眩しくて仕方なくて、気候変動なのかエイジングなのか感覚過敏なのかと思っていたけど、もしかしたら瞳の色がやや薄いかもしれない。そういや父親はかなり瞳が明るくてずっとサングラスをしていた。

 地下鉄駅のそばで「○○病院はどこですか?」と訊かれる。おじいさん、道路挟んで反対側です…。たぶん地下鉄の出口を間違えたんだと思う。地下に潜らなくてもすぐ信号ありますよ、と伝える。

 会社の人にもらった塩カンロ飴を舐めてみたら一口目が完全にふかしたじゃがいもの味だった。小さいころ母親がポテトサラダ用にふかしたじゃがいもを潰して冷ましていたものをつまみ食いしていたけど、まさにその味がした。

 前々から予告されていた業務のミーティングで「3月中にここまで終わらせたいです。今日データ取りまとめの締め切りです」と言われてCreepy NutsのBling-Bang-Bang-Bornが頭の中をかけ巡った。バクで?まぐれ、認めねーゼッテー マジで?これおま…残り2日で?

 昨日の無敵ちゃんが体調不良で開幕には間に合わないらしい。宏斗*1も開幕ローテ外れたし、開幕前に気がかりなことばかりである。確かに宏斗は現地で見たときもフォーム制球ともにバラッバラだったけど…。

 料理中、鷹の爪を切っていた手でうっかり目を触ってしまった。目がかゆかったのだ*2。その後はご想像どおり、あの瞬間のわたしは間違いなく名古屋市某区で一番ムスカ*3に近かった。

 夜、つれあいとお茶飲みながら何か見るかとテレビをつけたら、ちょうどテレ朝チャンネル2の水曜どうでしょう再放送の時間だった。ヨーロッパ・リベンジだったので、これはあの名言の回かもしれないと思いながらヨーロッパ・リベンジ初見のつれあいとゲラゲラ笑いながら見ていた。そしてクライマックスで藤やんから放たれたのはやはりあの名言だった。「ここをキャンプ地とする」!!!!

*1:中日ドラゴンズの髙橋宏斗投手。贔屓のドラゴンズの中でも応援している

*2:スギ花粉症、まだまだ飛んでますな

*3:映画「天空の城ラピュタ」に出てくる悪役。CVは先日亡くなられた寺田農さん

24.03.26 夜を駆けてくるのは

 朝起きて編み物をしていたらなんだかめちゃめちゃになっている場所があり、そこまで解いて再度目を拾うことになった。つれあいが朝ごはんを用意してくれていたのに温め直す羽目になってしまって申し訳なかった。

 なんか冴えないなぁと思いながら昼休みに出てツイッターを開いたらバファローズ公式が無敵ちゃん*1の動画を載せていた。思わぬ無敵ちゃんに動揺しつつも嬉しい。ありがたい。

 最近、ツイッター*2にあまり日々の雑多なことを書かなくなったな、とお弁当に持ってきたおにぎり*3を食べながら思った。なんとなく躊躇われるのである。なので、今までツイッターに書いてきたことを1つのブログ記事に書き溜めたら日記になるのかもしれない、と思ってやってみることにする。ずっと日記をやりたいと思いつつやれてなかったけど、昨日読んだ小泉夜雨さんの日記*4がおもしろくて、ならばと俄然書きたくなったのだ。ちなみにわたしにとっての脚注まみれの日記といえば乙一の『小生物語』である。

 上司がTeamsでミーティングしながらしきりに遊撃手遊撃手と連呼していた。遊軍のことだと思われる。

 仕事が遅くなったつれあいから帰るLINEが来たので、スピッツの「夜を駆ける」を歌いながらスープを温めていた。冷静に考えると夜を駆けてくるのはつれあいの方なのだけど。

*1:「無敵の中川」こと中川圭太選手。なぜか照れてしまって名前を呼べない。応援している

*2:現在はXという名称

*3:紫蘇ジュースの残りの紫蘇で作った佃煮入り

*4:https://twitter.com/kozumi_yau/status/1772206525882224721?t=-MAnErDSQoxQsRATo-sbxw&s=19

23.12.11 なんでもないですよ

 最近、仕事で重い荷物を持っている。依頼のあった品物を詰め、梱包し、送り状を印刷して貼り、夕方の集荷へ間に合うように守衛室へ持って行く。重い品物が詰まった箱や袋を台車に乗せてがらがらと運ぶのだ。ヘルニア持ちの腰に気を遣いながら。

 今日もまた荷物を守衛室へ持っていった。守衛さんはいつも、別棟から来たわたしに気づくと、本棟のドアを開けて待っていてくれる。ありがとうございまーすと言いながら守衛室に入り、荷物を下ろそうとすると「いいですよ、やりますので」と荷物を下ろしてくれた。「いつも重いのにすみません」とお礼を言うと、守衛さんは「なんでもないですよ」と言った。なぜだかわからないけど、その言葉を聞いて、わたしは泣きそうになってしまった。泣きそうどころか、別棟まで台車を押しながら泣いた。

 何気ない言葉に泣いてしまうことはたびたびあって、そのたびにちょっとだけ「まだだいじょうぶ」って思う。先月の終わりごろからメンタルがめちゃくちゃになってしまい、それでもどうにか日常生活を送ろうとするなかで、守衛さんの「なんでもないですよ」は本来の文脈を超えて聞こえたような気がした。守衛さんは明らかに目の前の送り状を貼られた荷物に対して言っているのに、今のわたしのメンタルをめちゃくちゃにした荷物のような事柄たちに対して言ったんじゃないか。一瞬そう思ってしまった。

 わたしの手を離れて守衛さんに預けた荷物は、集荷に来た運送会社さんの手で全国へ運ばれる。わたしはわたしの中にある荷物のような事柄を、ちゃんと引き受けて歩かないといけない。今はまだなんでもないですよとは言えないけど、ちょっとずつだいじょうぶになっていくはずだ。

本のさんぽみちで初めて本を売った話

 今日、わたしは初めて本を売った。名古屋の円頓寺商店街では、毎年秋に「本のさんぽみち」という古書メインのフリーマーケットが開かれる。そこに出店者として店を出したのだ。屋号はCashe de kelo、山形弁で「食べさせてください」という意味である。

 家の本棚の本、実家に置きっぱなしだった本、そして本のさんぽみちに合わせてつくったわたしと夫である天野うずめ氏の作品集、それらの本を旅行用のキャリーケースにぱんぱんに詰めていった。うずめ氏もわたしも、作品集をまとめたいという気持ちを持ちつつ、ずっと実行に移せずにいた。そんなときに本のさんぽみちの出店者募集を知って、「もしかして、本のさんぽみちに申し込んで、そこで販売することを目標にすればいいのでは?」ということに気がついた。そして、どうにかまとめて本をつくった。  今シーズン一番の冷え込みで、時々強風が吹き雨が降る中、お客さまはたくさん来てくれた。通りがかって、並べられた本を見て、時々買っていってくださるひとがいる。魚釣りをしたことはないけど、まるで魚釣りのようだと思った。いつだったか、中日の高橋周平の選手名鑑の寸評に「オフには釣れない釣りを楽しむ」と書かれていて、読んだときはたいそう笑ったのだけど、今なら周平の気持ちがわかる。これは楽しい。そして、短歌の友人たちも来てくれて、作品集を手にしていってくれた。わざわざ足を運んでもらえたことがとってもうれしかった。

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 忘れられないお客さまがいる。ふらっとわたしのブースに来られて、わたしの作品集『まぼろしスイマー』を手にとって少し読んで「気になる…」とつぶやいていた方だ。わたしとうずめ氏がお互いの作品集を読み合ってつくったフリーペーパーをお渡しすると「ありがとうございます!」と言っていったんブースを離れていったのだけど、少ししてそのお客さまはわたしのブースに戻ってきて、「スイマーください!」と言ってくださったのだ。忘れられずに戻ってきてもらえたこと、やっぱり欲しいと思ってもらえたこと。とてもとてもうれしかった。わたしの短歌が誰かに届けばいいと思ってつくってきたけど、わたしの短歌が届いたんだ…!と心から思える瞬間だった。それはあったかくてくすぐったくて、本のさんぽみちのための準備すべての大変さが吹き飛ぶほどだった。実感というものは思いがけずやってきて、また次へ向かわせてくれるものなんだな、そう思えた。  本のさんぽみち、とっても楽しかったのでまた出たい。そのときはぜひ会いに来てくださいね。

 

本のさんぽみちで販売した作品集『まぼろしスイマー』(と天野うずめ氏の作品集『似た服を買う』)の通販はこちらから。

23.10.31 罪なやつ

 朝、センターパートにしている前髪をサイドに流すためにマジックカーラーで巻いた。カーラーを外すとやや外ハネ気味だけどちゃんと流れていて、よしよしこんなもんでしょと会社に行く準備をしていたら、夫がわたしの髪型を見て言った。

「髪はねてるけどそれでいいの?」

ちっがーう!これは流してあるの!と抗議をしたところ、夫が後悔の念なのかうわーっとうめき出した。

「ワイはなんて罪なやつなんだ……!」

罪なやつってそういう文脈で使う言葉なのか。違うと思うんだけど。なんだか気が抜けてどうでもよくなってしまった。

 

昼休みに作業してきた個人誌の作業が一段落し、コンビニで小冊子印刷して確認することにした。紙の束を複合機から取り出すときにぶちまけるアクシデントに見舞われながらも、ページを揃えて中綴じホッチキスで留めてみるとそれなりにちゃんと本に見えてきた。嬉しい。

クジラと蛇口のトルネードに渦巻いていたねぎの1日

 クジラと蛇口のお二人のトルネードを読んで、わたしも記事を書きたいという気持ちがふくらんできた。何を隠そう、わたしはこの日一日クジラのほうである藤田美香さんと一日を過ごしていたのだから。ということで、これはトルネードの中で渦巻くねぎの日記。

 

クジラと蛇口のトルネードはこちらから!

クジラと蛇口のトルネード vol.1|藤田美香

クジラと蛇口のトルネード vol.2|蛇口ひろこ

クジラと蛇口のトルネード vol.3|藤田美香

クジラと蛇口のトルネード vol.4|蛇口ひろこ


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今からでも間に合う特急券があるスマホからミューチケットを買う


 金山から名鉄中部国際空港行き特急に乗る。ミュースカイではない方の特急だ。名鉄の特急は空港特急ミュースカイ以外は一般席(自由席)と指定席に分かれていて、ミューチケットという特急券を買うことで確実に座ることができるのだ。ちなみにミュースカイは全車指定席である。自由席に座れたらそれでいいか、と思っていたものの自由席はキャリーケースを持った旅人で混み合っており、座れる状態ではなかった。金山から太田川まで自由席の車両に乗り、太田川からのミューチケットを買った。ありがとう名鉄オンライン、ヘルニア持ちには助かりました。


ボーイング787の先にある美香さんが着くターミナルへと


 3月に福岡空港からセントレアまでフライトした際に降りたのは第一ターミナルだった。たまに散歩しに行く展望デッキがあるのも第一ターミナル。しかし今回は慣れ親しんだほうではないターミナルなのだ。空港の売店でセレクトした名古屋土産の不朽園のもなかやら備前屋の手風琴のしらべやら(あんこばかり!)を抱えて第二ターミナルを目指す。動く歩道があるにしても先の先。前に夫とフライト・オブ・ドリームスに行ったときはこんなに遠くない気がしたのに、この日はやけに遠かった。一人だったこともあるし、人を待つそわそわ感もあったのだろう。ボーイング787がどどんと鎮座しているフライト・オブ・ドリームスを越え、その奥の第二ターミナルへたどり着いた。

 

お迎えに行く三月に手を振って見送りに来てくれたあなたを


 先ほど、3月に福岡からフライトした話を書いた。このときはハネムーンに別府と福岡を巡ったのだけど、「会いたいひとがいたら会おう」と言ってくれた夫に対し、わたしは「美香さんに会いたい!」と即答したのだ。美香さんは快く応えてくれ、2日間の福岡滞在に合わせて休みを取り、2日ともお茶してくれたのだ。しかも最終日には空港までお見送りに来てくださったという!
 だから、今回はわたしがお迎えに行きたかったのだ。二人で歩くなら、あの延々長い道だってお喋りしていればあっという間でしょう。


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これはその3月のフライトでセントレアに着いたときの写真。


サングラスをかけた二人が「暑いね」と「長いね」と言い合いながら行く


 この日は5月とは思えない暑さだった。そしてもうとても眩しい。美香さんと二人、ちょうどいい時間のミュースカイではない特急に乗る。やはり自由席は混み合っているので、発車1分前にスマホから滑り込みでミューチケットを買う。なんせ腰に不安のある二人なのだ。そんな二人がゆったりと座席に座れば、そりゃやっぱり喋り始めるのであった。神宮前までの道のりもあっという間に感じられるほどに。途中、「美香さん見てみて、あそこに大仏ありますよ」と沿線の聚楽園大仏を指さすと美香さんは「でかっ!」と驚いていた。わたしも何度も見てるけど、大仏を確認すると一瞬えっ?となる。そこにいるのか!という感慨がある。布袋にも大仏があるし、名鉄沿線は大仏建立の機運が高いのだろうか。


みっしりとした田楽を頬張って名古屋の食べもの茶色いですよね


 神宮前の改札で津野桂さんと落ち合い、お昼に味噌田楽を食べた。こってりみっしりとした田楽はおいしく染み渡り、気づけばぺろっと食べてしまった。そしてもちろんおなかいっぱいになった。
 おなかがいっぱいになったところで熱田神宮へ向かう。なにしろわたしは熱田生まれ熱田育ちの熱田っ子なのだ。四半世紀前の杵柄だけど。東門から入って本殿を目指していると、美香さんは灯籠の大きさにびっくりしていた。「名古屋って何でもでかいよ!」と言う美香さんに「そうかなぁ」と言っていたのは桂さんとわたしである。後で名古屋出身ではない夫にも灯籠のことを聞いたら「あれはでかいよ!」と言われた。


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これがその灯籠。


この森は優しい森と歌われてこのおしゃべりも神話に変わる


 お詣りした後におみくじを引いたらなんと桂さんと番号がかぶってしまった。二人とも二十二番だったのだ。顔を見合わせて棒を戻し、もう一回がらがらとおみくじを引いた。この日は暑かったのでこれくらい許してほしい。そのあと、清水社からこころの小道を歩く。森の外の風景がちらちらと見えて、「今わたしはここを歩いているのか!」と感慨深くなる。見慣れた熱田の街を木々の間から見る楽しさ。
 当初は名古屋城にでも行こうかと言っていたけど、とてもじゃないけど暑くてたまらなかったので宮きしめんのある場所で休むことにした。なんといっても、名古屋城には日光を遮ってくれるような木々がほとんどないのだ。この暑さの中で歩いたら溶けてしまう。旅人を溶かすわけにはいかない。美香さんとわたしはソフトクリームを、桂さんはグリーンティーを片手にのんびりと喋った。このチョイスにもわたしたちのキャラが反映されているようで面白かった。境内の休憩所には時々心地よい風が吹いて、葉と葉が擦れる音が聞こえた。それはそれでとても贅沢な時間だった。


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お清水さんへの道を下る。


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暑かったけど、木漏れ日がとてもきれいな日だった。


一番の良席で見る美香さんとひろこさんとの再会のシーン


 地下鉄で市民ギャラリー矢田へと向かう。最大の目的地はここで開催されている蛇口ひろこさんの写真のグループ展なのだ。ひろこさんはクジラと蛇口の蛇口のほうである。ドームへ野球を見に行くときに歩き慣れた道も、美香さんと桂さんと並んで歩くと不思議な感じがした。
 美香さんとひろこさんの再会を見届け、胸いっぱいになり、そして展示されている写真を見てまた胸いっぱいになる。わたしも写真を撮る人間だけど、今までほとんど写真をプリントしてこなかった。だけど、写真展を見て、プリントされた写真から立ち上ってくるパワーに圧倒されたのだ。さまざまなフォトグラファーが、それぞれの写真に合わせたプリントを行って展示していた。キャンバス、クロス、アクリル、アルミプレート…それはとても豊かな写真表現の世界だった。ひろこさんの写真を見ながら好きポイントを語っていたら、美香さんに「短歌の評みたい!」と言われてちょっと面白かった。ひろこさんの撮る写真は陰影に湿度があって、そこが本当に好きなのだ。


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傾きを直そうとするひろこさんカメラは自然と背中を写す


 ひろこさんが展示されているキャンバスの傾きを直そうとする姿をフォトグラファーの宮田先生とわたしがすかさず撮っていた。だって撮りたいんですよ、そういう姿こそ。
 用事に向かう桂さんを見送った後、一度ギャラリーを失礼して、前にあるイオンのコメダで美香さんとお茶した。普段なかなか話せない短歌のこともいっぱい話した。家族以外の短歌のひとと短歌について話す時間のうれしさをしみじみと噛みしめるひとときだった。美香さんが大好きな染野さんの新しい歌集が出ますね、という話もした。そうそう、この前やっと買いましたよ、染野さんの歌集。


振り向いて笑う写真を見返せば五月あかるい夕暮れのなか


 ギャラリーに戻って諏訪灯さんと合流する。灯さんに会うのがあまりに久々で、お互い「この人は…知ってるはずだぞ…?」とまじまじと顔を見てしまった。お元気そうでよかった。
 クローズ作業のあるひろこさんより先に、三人で平和園に向かった。平和園に向かう我々が振り向いたところを撮ってもらったのだけど、それがあまりにいい顔をしていて、今でも見るたびににこにこしてしまう。誰かがターミネーター溶鉱炉に沈むシーンとか言うからだよ。言ったのはわたしだけど。


ひらがなで五文字の焼肉屋を曲がりガールズバーの上に ホテルだ


 わたしの夫である天野うずめと合流し、美香さんの荷物を置きにホテルへチェックインする。焼き肉のいい匂いを浴びながら角を曲がり、マップを見てみてもホテルがない。あれ?と思ったらガールズバーの上に女性専用カプセルホテルがあった。まったくの想定外だった。ともあれ、無事に荷物を置いて平和園へ向かった。そして、平和園の一番奥の席には荻原裕幸さんがいた。オギーさんの短歌が好きだという美香さんはそれはそれは感激していて、それならばと美香さんにはオギーさんの隣に座ってもらった。


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こんな感じの会でした。


美香さんと荻原さんが分け合った黒ラベルほら星まで笑う


 ひろこさんとひろこさんの娘さんの水鞠ちゃんも合流し、たまにちゃありぃさんも混ざりながら話した。灯さんには何度も「なぎちゃんとうずめちゃんの会話が完全に夫婦漫才」と言われた。普段の家庭内での会話をそのまま開陳しているだけなのに、ひとが聞いたらそうなるのが妙におかしかった。3年も一緒に暮らしてたらそうなるのかもしれないな。ひろこさんと水鞠ちゃんはどことなく雰囲気が似ている感じがしてうれしくて、ずっとにこにこと話を聞いている水鞠ちゃんにも会えてしみじみとした。またごはん食べましょうね。
 美香さんがオギーさんと話しているところをinstax mini EVOで撮り、その場でプリントして美香さんに渡したらとても喜んでもらえた。せっかくだからとチェキを持っていってよかったな。さっそくプリントした写真のパワーを知ることができた。
 わたしの平和園一押しメニューは小海老の玉子炒めなのだけど、この日はみんなに食べてもらうことができた。おいしいので覚えて帰ってくださいね。


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刮目せよ、これが小海老の卵炒めだ。


ずっとずっと手を振る美香さんの姿がまだあの路地にいそうな気配


 すっかり食べて飲んで語らって、そろそろ解散しようかという頃合いになり、美香さんをホテルへ送っていった。明日は金山で灯さんと集合して水族館に行くという美香さんに、「JRの7・8番線から出る電車に乗ってくださいね、どれも次の駅が金山です」と伝えたり、ひらがな5文字の名前の焼き肉屋さんの名前を確かめたり、すごい店構えの質屋を見たりしながら。夜の名駅って本当に別物という感じがするのだけど、この日はいっそう不思議な感じがした。
 美香さんは振り向いても振り向いてもずっと、駅へ向かうわたしたちに手を振っていた。ひろこさんに「ホテル入ってていいよー!」と言われてもずっとずっと。3月の福岡空港で搭乗ゲートに吸い込まれるわたしたちにずっと手を振ってくれたときのように。今でも、あの路地に行ったら、あの日の美香さんとわたしたちの声が聞こえる気がする。


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この日のオギーさんと平和園の二代目のちゃありぃさん。


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このあたりにもわたしたちの笑い声がまだ残ってるはず。


 クジラと蛇口のトルネード、という名の再会を間近に見たわたしからの、長い長いこの日のことでした。今度はみんなで、写真を撮ったり短歌をつくりながら歩きたいですね。