リコーが出しているコンパクトデジタルカメラ、GRシリーズを初めて手にしたのは2011年だった。GR DigitalⅣ発売を前に値下がりしていたGR DigitalⅢが最初のGRで、さらに言うなら写真を趣味にしようと手にした最初のカメラだった。一眼レフではなくGRDⅢにした理由は「気軽に持ち歩ける」「単焦点だから自分の足で動いて撮ることを覚えられる」「見た目がかっこいい」「知る人ぞ知るカメラっぽい」といったところだった、気がする。
ともかく、そうしてGRシリーズを愛機にしてから13年。干支一回り以上経ってようやくGRのリアルイベントに参加できた。それが今回のGR meet47 滋賀である。タイトルの通り、47都道府県を回るこのイベント、滋賀会場は36回目であった。36回目にしてようやくの初参加である。本当は地元の愛知も、近隣の岐阜や三重も参加したかったのだ。だけどどうしても日程の都合が合わなくて泣く泣く見送っていた。愛知の日なんか、自分が写真を撮るどころか、病院でエコーを撮られていたのである。まだ行っていない府県を考えつつGR blogをにらめっこする日々。行けそうなところなら多少の遠出でも行くつもりだった。滋賀の会場が近江八幡だと知ったときはガッツポーズをした。JR在来線で…!行ける…!つれあいにも「行っておいで!」と言ってもらい、申込開始日の20時ちょうどにゼロ打ちするかのように申し込み、晴れて参加できることになった。
名古屋からJRで近江八幡へ。新幹線こだまを使う選択もあるのだろうけど、時間と費用を勘案して在来線で向かうことにした。東海道線が米原直通だったので、乗り換えが最低限で助かった。なにしろこの日はひんやりグッズをしこたま持ち歩いていたのだ。
会場のアンドリュー記念館に着き、GR Ⅲx HDFのレンタルを受け取る。せっかくなら使ってみよう!とお願いしていたのだ。ヴォーリズ建築が会場という贅沢さである。フォトウォーク前に今回の参加者の属性をざっくり教わり、講師の桃井一至さんから近江八幡のスポットの説明を受ける。愛知から・初参加・使用歴10年以上のわたしは大多数ではなくておもしろかった。初参加よりリピーターが多いなんて!桃井さんはまさにヴォーリズ学園に幼稚園から通われていたということで、とても詳しくレクチャーしていただけた。前に短歌の友人からヴォーリズ建築の話を聞いていたこともあり、別の趣味と別の趣味とがつながる思いだった。
フォトウォークに出て、まずは桃井さんの案内ではんこ屋カフェの江湖庵さんへ。どうしても仕事道具ごしにはんこを彫る手を撮りたくて粘る。GRはⅡまでとⅢ以降で操作系が異なっていることもあり、時間をかけて粘ってしまった。とても素敵な書とはんこに満たされた空間で、ここではんこをオーダーしてみたいなって思う場所だった。懇親会のケータリングはここのごはんだよ、と聞いてがぜん楽しみになる。
次に向かったのはヴォーリズ学園。応対してくださった学園の方はかつて桃井さんの担任をしていたそう。OBの桃井さんの話を聞きながら歩き回り写真を撮るという贅沢な時間を過ごした。ヴォーリズ建築って曲線の使い方が本当に魅力的で、細部にまで行き届いた意識が感じられる。体育館もとてもよく音が響くつくりになっていた。
ここからは自由行動。体育館で写真を撮らせていただいたYさんとお堀を目指す。学園前のバス停のかわいさに見とれて、「たぶんこっちだと思う」という方向に歩く。時間もあるからね、とYさんにGoogleマップを見ていただいたのだけど、「普段はマップなんて見ないで歩くんだけどね」とおっしゃられていて「わたしもです!」と答えていた。だって、時間がある限り、市街地なら歩いていればどこかには着くはずだから。「行けるかな?」と言いながら細い細い道を抜けていく。Yさんは神戸から参加されていて、もちろん初対面だったのだけど、一緒に楽しく歩いてくださって嬉しかった。
Yさんとお堀に行くと、ほかの参加者の方々もいらっしゃった。お堀を挟んで写真を撮る形になったりして、イベントでフォトウォークする楽しさってこういうところなのかな、と思った。思えば過去のフォトウォークも、友人と二人で歩くことはあっても、大勢で歩いたことはなかった。新しい楽しみを見つけた。
お堀から会場近くへ戻り、Yさんとカフェでランチする。Yさんのハムエッグランチのハムがしっかり分厚くて、「まるでGRのように堅牢なハム…」と言って二人で笑っていた。講評会に3枚提出する写真をざっくりセレクトしてお店を出ると、向かいに文具店があった。ここは万年筆趣味が激しかった頃にいつも見ていたブログの文具店では…?と扉を開けると、果たしてそこは万年筆ブログを書いているスミ利文具店さんだった。こんな形で出会えるなんて。嬉しくてびわこ一筆箋を買った。おつきあいいただいたYさんもとび太くんノートを買っていた。ほくほくした気持ちで会場に戻ると、隣のAさんが「桃井先生が言ってたコロッケ買ってきたんですよ~」と言っていた。お肉屋さんのコロッケ、すっかり食べ損ねてしまった。
講評会は参加者のあいうえお順で進んだ。桃井さんの講評はおもしろく、時に笑いを挟みながらも参考になるアドバイスがされていた。主題をはっきりさせるといいよ、とか、あの写り込みは削った方がいい、とか、カメラの向きを下向けるといいよ、とか。日ごろいかに頭を使わず撮っていたかを思い知ったのでした(特に構図面で)。
わたしが提出したのはこの3枚。
1枚目、HDFモデルのお手本のようとのこと。逆光がふわっとして、人物も建物も活きていると言われて嬉しい。体育館から外を撮るYさんが素敵すぎてシャッターを切らずにはいられなくて、あとから「撮らせてもらいました~」とお話ししたんだけど、気に入っていただけてよかったな。
2枚目、これは視線が上下に分散してしまうのだけど、どう解決すればいいのかずっと考えてますと言われる。上下に分散するところまで意識を配れてなかったな、という根源的な問題に気づいた。思えばこういう写真を撮りがちかもしれない。
3枚目、桃井さんいわく「撮りたいなーと思って見てたら粘っていらっしゃったので撮れなかったんですけど、これが出てきて安心しました」。わたしはひたすら平謝り、場内爆笑。とはいえHDFの効果を活かしつつ構図もよくまとまりのある1枚になっているとのこと。今回のベストショットに選んでいただいた。
桃井さんのスライド&トークでおもしろかったのは、「撮影の合間にGRで撮影してる」という話。実際、GR meet47でお会いした方に聞いてみると、みなさんレフ機かミラーレスもお持ちという方ばかりだった(わたしも含めて)。でも、レフ機で撮れない写真がGRなら撮れるという実感は確かにある。歩きながらノールックでシャッターを切るなんて、レフ機やミラーレスでもやろうと思えばできるだろうけど、気軽にやってみようと思わせてくれるのはGRだからこそ。桃井さんの作例を見て、フルプレススナップをもっと活かしてみたいな、ハイコントラスト白黒にももっと挑戦したいな、と思った。
懇親会では講評会の時のわたしの写真を覚えていてくださった方に話しかけていただいて感激した。自分の写真を見てもらう機会があまりなく、フィードバックをもらうこともなかったので、今思い返すと泣きそうなくらい嬉しかった。「個展やグループ展されてるんですか?やられてないならグループ展やってみるといいですよ!」とも言っていただけたので、グループ展…いつかやれるといいな…ずっとソロで写真撮ってきたから…。江湖庵さんのケータリングはめちゃめちゃおいしかった。あっという間にお料理がなくなっていた。いつかランチ行きたいなぁ。
胸いっぱいのところでお開きになり、Yさんとバス停行って帰りましょうか!と話していたらAさんが「車で来てるんで駅まで送りますよー」と言ってくださった。ありがたく甘えることにしてお堀の橋を渡ると、ちょうどマジックアワーのお堀がふわっと浮かび上がってきた。3人それぞれのGRを取り出してお堀の写真を撮っていたこと、ちょっとしたことだけどずっと忘れないような気がする。まだ大阪と奈良残ってますからね、きっとまたお会いしましょうね、と近江八幡の駅でAさんと別れる。電車の時間まで少し時間があったので、Yさんとおみやげ買えないかな?と少し歩いてみたけどクラブハリエのものは見あたらなくて、二人ともおみやげ話と写真データと文具を持って帰ることになった。Yさんは加古川行き、わたしは米原行きの湖西線新快速に乗って。
帰りの東海道線も米原から豊橋まで直通だった。うつらうつらしながら名古屋駅で乗り換えのために電車を降りると、目の前がまぶしい。なんだこれはと寝ぼけ眼をこらすとそこには世界の山ちゃんがあった。駅のホームなのに。山ちゃんの写真をつれあいに送り、名駅着いたよお迎えお願い、とLINEした。楽しい一日を家に持ち帰るために。
気さくに楽しくお話ししてくださった桃井さん、あたたかくのびのびと過ごせるようお気遣いいただいたリコーのみなさま、本当にありがとうございました。そして、今回ご一緒してくださったみなさま、人見知りのわたしにもどんどんお声がけくださりありがとうございました!おかげさまでとてもいい思い出になりました。またどこかでお会いできたら嬉しいです。
以下、当日の写真です。すべてJPEG撮って出し。1枚目と最後は我がGRⅡ、それ以外はレンタルしたGRⅢx HDF。
GRⅡはポジフィルム調、GRⅢx HDFはネガフィルム調のエフェクトで撮影。
設定をあまり追い込む余裕がなかったのが心残り…!
本日、ゲストに桃井一至さんをお迎えし、アンドリュース記念館にて GR meet 47 滋賀会場開催中。
— GR (@GR_RICOH) 2024年7月27日
最高気温35℃ということで、熱中症には注意しながら、みんなで近江八幡を撮り歩き。
桃井さんのご実家が近江八幡ということで、かなり詳しくガイドしていただいております✨… pic.twitter.com/Ajs8C3Iar8
3枚目にわたしがいます。ふふ。